この本に出てくる作品と関係のある美術館を紹介します。画集や本で絵を見るのもおもしろいけれど、やっぱり生でみるとちょっとちがう感動があります。ぜひいちど行ってみてください!
豊田市美術館(愛知県豊田市)
「伝統ある正しい美しさ」をあらわす、まっ白なヴィーナスの像と、「日常のなかでつかいすてられるなんでもないもの」をあらわす、ぼろぼろの布をくみあわせることで、私たちに「美術作品ってなんだろう?」という大きな問いかけを投げかける、ミケランジェロ・ピストレット《ぼろぎれのヴィーナス》が収蔵されている美術館。本のなかでは、ナポリにあるべつのバージョンの作品が燃やされてしまった話が出てきました。19世紀後半から現代までのたくさんの美術作品があり、きっとあらたなおどろきと発見がありますよ。
ポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町)
パブロ・ピカソの作品や、ヴィンセント・ファン・ゴッホの作品が収蔵されている美術館
箱根の深い森のなかにたつ、光にあふれた美術館。本のなかでは、パブロ・ピカソの絵の具の層について、そして、ヴィンセント・ファン・ゴッホの絵の具のもりあがりの生き生き感についてお話ししました。実際にこのふたりの絵画と出会える美術館が、まさにここ。筆づかいの特徴や、色彩のかさなりをぜひ見に行ってみてください。「保存修復の眼」をとおしてわかったことが公開されることもよくあるので、「最近どんな調査がおこなわれたのかな?」と、わたしもいつも楽しみにしています。
東京国立近代美術館(東京都千代田区)
明治時代後半から現代までに制作された日本の美術作品、そして国外のアーティストの作品の歴史をたっぷり楽しめる、国立の美術館。この美術館のなかに、本で紹介しているアントニー・ゴームリーの作品がスッと立っています。おもしろいのは、建物の内側と外側に、彫刻がむかいあって立っていること。作品を見ていると、ガラスにうつる自分のすがたも目に入ってきます。どこに作品があるかは、行ってみてのお楽しみ。さがしてみましょう!
文/田口かおり