絵本のおもしろさは、魅力的な絵やストーリーのほかに、「ページをめくる」ことで次の場面があらわれることにもあります。この「ページをめくる」という絵本ならではのしくみを上手につかっているのが、ロングセラー絵本のひとつ、『よかったね ネッドくん』(レミー・シャーリップ 作/やぎたよしこ 訳)です。
主人公のネッドくんに困ったことがおこったと思ったら、次の場面では運良く助かり、でもページをめくると、またまた災難が待っています! さあ、どんな冒険がくりひろげられるのか、見てみましょう。
びっくりパーティーに招待されたネッドくん
あるひ、ネッドくんに てがみが きた。「びっくりパーティーに いらっしゃい。」よかったね。
でも、たいへん! パーティーは とおい とおい フロリダで やるんだって……。
(ネッドくんはニューヨーク在住なんです)
よかった! ともだちが ひこうき かしてくれて。
でも、たいへん! ひこうきが とちゅうで ばくはつ。
じつはバイリンガル絵本。英語の勉強や日本語との差にも注目!
この本は、もともとアメリカで出版され、1969年に初めて翻訳されました。偕成社の絵本の中でもとりわけ長く読みつがれているロングセラー作品のひとつです。
作者のレミー・シャーリップさんの希望もあり、1997年の新版からは日本語と英語が併記されています。文を見ると、どのページにも共通していることばがあることに気がつくはず! そう、「よかった!」のところは、“Fortunately(運のいいことに)”、「でも、たいへん!」のところは、“Unfortunately(運の悪いことに)”と書かれています。この英語の響きもとってもリズミカルで、楽しく読むことができます。
英文はどれもとても単純な文章ですので、ちょっとした英語の勉強にもなりますし、日本語訳とのちがいを楽しむこともできますよ。(日本語では、“運のいいことに”よりも“よかった!”という訳文のほうがずっとリズミカルでいいな! ということもね)
自分でお話をつくってみてもおもしろいかも?
波乱続きのネッドくんが無事にパーティー会場にたどりつけたかどうかは、ぜひ実際に本をお手にとってごらんくださいね。
大勢で楽しめる拡大版の「ビッグブック版」も刊行しています。大きな画面で、さらに迫力いっぱいのネッドくんの冒険を楽しめます。
「よかった!」「でも、たいへん!」のネッドくんのお話を自分なりにつくってみるのも、おもしろいかもしれませんね。