保育園で「きょうは、朝、なにを食べてきましたか?」と、子どもたちにたずねることはなくなってきています。
「おやすみの日にどこかへ行ってきた人?」という言葉も同様で、それぞれの事情を考えずに、子どもたちにきくことはできません。
「早寝、早起き、朝ごはん」という標語も、あまりきかれなくなったように思います。「できて、あたりまえ」と保護者に担わせる認識は変わってきています。

保育園の子どもたちが、ほかの家庭と自分の家庭を比べてみることはないのですが、朝ごはんを食べてこなかった子、どこへもつれていってもらっていないという子が少なからずいることも事実です。
以前、園長をしていた保育園では、「朝ごはんを食べる時間がなかったら、子どもにおにぎりを持たせてください」と保護者に伝えていました。おにぎりを保育園で食べる子がたくさんいて、ときには事務室の職員のいすが満席になってしまうこともありました。
朝ごはんを食べさせることができなかったなど、さまざまなことで、親が自分を責めなければならないようなことは避けるべきだと考えています。子どもたちは、地域や保育園で一緒に大事に育てていけばいいんです。
夜ごはんにハンバーガーセットを買ってきて、「きょうはハンバーガーにしよう!」「やったー!」と、親子で会話する食事も、もちろん、いいものです。
そんな日々だからこそ、みんなで食卓をかこみ、おうちで作ったごはんを食べられると、うれしくおいしく感じられますね。
いっしょに食べることは楽しいねと思う絵本『きょうのごはん』
食べものがテーマになった絵本は、多くの子どもたちと楽しめるものです。その中でも、子どもたちと一緒に見るとさまざまな発見があるのが『きょうのごはん』。

『きょうのごはん』(加藤休ミ 作、偕成社)
『きょうのごはん』の表紙には、おいしそうなさんまが描かれています。「きょうの ごはんは なーに?」と、となりの家やお向かいの家のごはんのにおいをかぎながら、ねこがごはんパトロールにでかけます。みんなの食卓をのぞいていくという設定で描かれています。
子どもたちといっしょにページをめくると、見るたびに新しい発見があっておもしろいです。
「さんま、たべたことある」
「おさかな、すき」
こんな風に言う子は意外と多くいます。カレーの福神漬けの絵を見て、「これ、きらーい」と言う子がいると、福神漬けを知っているんだなあと思います。

お父さんが作ったオムライスが完成したときに、玄関から入ってくるのはお母さん。子どもたちは、「これ、だれ?」「おかあさん!」「うちのママもおしごといそがしいよ!」「パパがごはんつくるよ」と、それぞれに思ったことを言います。

何度も見ているうちに、「いすにのっておてつだい、だいじょうぶかなあ」と言い出す子がいたり、「このこ、くちにいれすぎておこられてる!」と笑い出す子がいたり。
食卓の場面に登場している人たちが、最初の商店街で描かれている人たちだと気がつくと、その人たちをさがしはじめます。お祝いをしてもらったおじいさんが、商店街の喫茶店で本を読んでいることにもちゃんと気がつくので、わたしは感心してしまいます。
作者の加藤休ミさんの遊び心が満載です。
みんなでいっしょに食べるようすを見ると、心が温まる感じがします。コロッケを作って食べるシーンを見た子が、「コロッケたべた! かってきたんだけどね。おいしかったあ」と言っていました。子どもたちが何度も何度もこの絵本のページをめくって読んでいるところを見ると、おうちの人といっしょに絵本を見て、「きょうはなににしようか? みんなで作ろうか?」なんて言って、特別な日になったらいいなと思います。毎日は無理だとしてもね!



