朝、保育園に、大事にぬいぐるみを抱えてくる子が何人もいます。
その子にとってお気に入りのぬいぐるみ。お母さんやお父さんは「保育園には持っていけないよ」と取り上げようとするのですが、わたしが勤務する園ではそんなとき、大事なぬいぐるみも一緒に受け入れることにしています。
絵本『くまのコールテンくん』で、おもちゃ売り場でみつけたコールテンくんをどうしても欲しいと思った女の子の気持ちが、子どもたちにはよくわかります。

『くまのコールテンくん』(ドン・フリーマン 作、まつおかきょうこ 訳、偕成社)
わたしが保育園の幼児クラスでこの本を読もうと表紙を見せると、くまの絵にひかれてだんだん子どもたちが集まってきました。

夜のデパートの中で、コールテンくんはエスカレーターを山だと思ったり、マットレスについているボタンを自分のものだと思ってひっぱったり。そんなコールテンくんに大笑いしていた子どもたちも、警備員さんがあらわれると真剣な顔に。
この絵本の最後のページでは、女の子とコールテンくんがちゃんと会話をしています。ヨーロッパなどでは、子どもが早くから自分のベッドで寝ることがあるので、悲しいときには一緒に泣いてくれて、うれしいときには一緒に笑ってくれるような表情のお人形を子どもにわたすときいたことがあります。コールテンくんが、女の子にとってそんな存在になっていくといいなあと思います。
保育園の子どもたちの頭の中にも、お気に入りの人形やぬいぐるみが浮かんでいたにちがいありません。
絵本『くまのコールテンくん』にでてくる貯金箱とお金のこと。
『くまのコールテンくん』には、お母さんに「だめ」と言われて買えなかったくまのコールテンくんを、次の日女の子が買いにくる場面がでてきます。自分の貯金箱をあけていくらあるか調べて、ちょうどコールテンくんを買うだけのお金があったので、ひとりで買いに行きます。

その場面をわたしの孫に読んだとき、あけたくてしょうがない自分の貯金箱のことを思い出したのか「そうか、そういうときに貯金箱をあけたらいい」とつぶやいていました。
自分が本当に欲しいものがあったときは、貯金箱のお金をかぞえて買いに行こうと考えたのだと思います。
子どもとふれあうなかで、子どもが自分が持っているお年玉など硬貨のお金と、貯金箱と、欲しいものを頭に浮かべる場面によく出会います。このあたりも『くまのコールテンくん』のお話が、子どもの心にすっと入っていく理由なのだと感じます。
いまは「欲しい」と思ったときにスマホなどでさっと買えますが、「欲しい」と思ったものを「自分がコツコツ貯めたお金で買おう!」と考える気持ちは大事にされるといいなと思います。
『くまのコールテンくん』は、日本での発売が1975年で50年以上前のものなのに、今読んでもハラハラしたり、思わず笑ってしまう場面があったり、大切なことに子どもたちが気づいていくすてきな絵本です。


