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絵本&読み物案内

1961年発売の超ロングセラー! 「星の文人」野尻抱影の文章で読む、星座にまつわる物語集『星と伝説』

2026.01.12

大昔から今も変わらない、空に光る星々。星を線でつないで絵に見立てたのが、星座です。ギリシア神話をはじめ、星座にまつわる伝説や物語は、世界各国で昔から語り継がれてきました。そんな各地の物語を集めたのが、『星と伝説』(野尻抱影 著)です。


有名なあの話も、ユニークなこんな話も! 星座に関する物語がずらり

 『星と伝説』には、ヨーロッパや日本、中国など、世界各地を舞台にした、星座にまつわる22の物語が収録されています。
 
 目次をみてみると……
 
  1. 天にとどいた竹の子(こと座・わし座)
  2. 女神ののろい(大ぐま座・小ぐま座)
  3. 鹿になったりょうし(小いぬ座)
  4. 天のくま狩り(大ぐま座)
  5. ぶたにばけた七つ星(北斗七星)
  6. 北極星もうごく(小ぐま座)
  7. 怪力ヘルクレス(しし座・うみへび座・かに座・りゅう座・ヘルクレス座)
  8. 娘のゆくえ(おとめ座)
  9. 美しい友情(ヘルクレス座)
  10. 仲よしきょうだい星(さそり座)……
 
 ……このように、さまざまな星座とそれにまつわる物語が並んでいます。
 
 では、1つ目のお話「天にとどいた竹の子」のストーリーをみてみましょう。
 奄美大島に住むある男が、地上に遊びに降りてきていた天女の羽衣を盗んで隠して天に帰れなくし、結婚しました。天女は泣いて悲しみましたが、やがて男との暮らしを楽しみ、子どもももうけます。でもついにあるとき、隠されていた羽衣を見つけ、大喜びで子どもとともに天に戻りました。
 しかし、男のことも愛していた天女は、男に手紙を残していました。「わらじを千足編んで土に埋め、そこに竹の子を植えたら、ぐんぐん伸びて天まで届きます。それを登ってきてください」
 手紙を見た男は懸命にわらじを編み、竹の子を植えて、ついに天へのぼって天女と子どもと再会します。天女の父、老王も男を歓迎しますが、男が天人になるための試験で失敗してしまったために、天女と男の間に大きな川ができて、2人ははなればなれになってしまいます。老王は、「娘とは川の両岸に住んで、年に1回、7月7日の夜だけ会うのじゃぞ」と言い渡したのでした。
 最後まで読むと、織姫と彦星で知られる七夕のお話ととてもよく似ていることがわかります。このお話は、日本本土から南の島へ伝わった「羽衣伝説」と、「七夕伝説」とが一緒になったものだといいます。
 
 ほかにも「しょくじょけんぎゅう」という、織姫と彦星にあたる2人の物語が収録されていて、そこでは中国が舞台の、また一味ちがったストーリーが展開されています。目次をみるとわかるように、この本には同じ星座の物語もいくつか登場していますが、同じ星座でも、舞台やストーリーが異なる複数の物語が今に語り継がれているのです。

 七夕伝説のような有名な話以外にも、季節ごとに位置が変わる星の動きと結びついた、鳥たちと熊の追いかけっこの物語など、ユニークなものもたくさんあります。

明治生まれの「星の文人」野尻抱影の文章で読む、当時のままのロングセラー

 この本を書いた野尻抱影氏は、明治18年生まれの星の研究家で、英文学者としても活躍しました。「冥王星」という和名を命名したのも野尻氏で、日本全国に伝わるさまざまな星の和名を収集するなど、日本における「星をみる文化」を育てた人、ともいえるでしょう。
 
 そんな野尻氏が子どもに向けて書いたのが、この『星と伝説』。1961年に出版されたものが、多くの子どもたちに読み継がれ、当時のままの形で今も重版を続けているのです。偕成社の中で、最も古いロングセラー作品です。
 
 野尻氏の平易で読みやすい文章がそれを後押ししているのはもちろんですが、星や星座というものが、大昔からずっと変わらず、世界中の人の上にかがやき続ける存在だからこそ、いつまでも同じ本を楽しめるのだと思うと、やはりロマンを感じますね。
 

西村保史郎さんによる、クラシックで美しい挿絵も多数入っています。西村さんは抽象画家として活動し、1960〜70年代には児童書の挿絵を多数手がけていました。

 
 手軽に読める偕成社文庫版もあります。ぜひお手にとってみてください。

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