自分が住む地域で、過去にどんな地震が起こったか。それを知ることは、最大の防災になります。『地図で見る 日本の地震』(山川 徹 文/寒川 旭 監修)は、679年の筑紫地震から、2019年の山形沖地震まで、日本で起こった大きな地震を地域別の地図とともに紹介します。
日本で起こった大きな地震を地域別に網羅!
本作では日本列島を8つの地域にわけて、それぞれの地域で起こった大きな地震に関して、まずは地図とインフォグラフィックで視覚的にわかりやすく伝えます。
そのあと、各地震の詳細ページに移ります。発生日時や震源地、地震の大きさなどの情報のほか、中でも大きく割かれているのが、当時の被害状況です。
本作では昔の人が書き残した文献をもとに、当時のようすを克明に伝えます。たとえば、1586年に起こった天正地震での滋賀県長浜のようすを、宣教師として来日していたルイス・フロイスはこう記録しています。
大地がわれ、たくさんの家屋と人がのみこまれてしまい、のこりの家屋はゆれとおなじ瞬間に燃えて灰になった。その火が天からきたものか、人間業によるものか知るものはいない。
また2024年8月に「南海トラフ地震臨時情報」がはじめて政府から発表されるなど、緊張が高まっている南海トラフ地震の特集ページも。684年の白鳳南海地震をはじめとした、南海トラフを起因とした地震について詳しく説明しています。
そのほかにも、阪神淡路大震災や東日本大震災など、日本に甚大な被害をもたらした地震を紹介します。
「減災」するためにできること
監修の寒川旭さんは、地震考古学の第一人者。寒川さんが長く研究してきた、日本の地震の歴史のエッセンスがこの本につまっています。
序章の「どうして地震の歴史を知る必要があるの?」という質問には、こう答えます。
「地震の巣」とよばれる日本列島で暮らすわたしたちにとって、地震とどのようにつきあっていくかはとても重要な課題です。地震がかならず起き、予知できないのなら、取りくまなければならないのは、被害をできるだけ軽くする「減災」です。
被害を軽くするためには、まず、その土地でどんな地震が起きたのか、昔の人たちは、地震にどうむきあって、生活を立てなおしてきたのか知る必要があります。そこから、みなさん自身の命と暮らしをまもる「減災」がスタートするのです。
まずは防災の第一歩として、自分の暮らす地域の地震について学んでみるのはいかがでしょうか。