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50年におよぶ、ノグソ研究の集大成!『ウンコロジー入門』

トイレに流したウンコは、どこへいく? 『ウンコロジー入門』(伊沢正名 著/小池桂一 イラスト)は、ノグソをすることで「命を自然に還す」試みをつづける、糞土師ふんどし・伊沢正名さんの「ウンコ+エコロジー=ウンコロジー」の入門書です。

ウンコからはじまる、命の連鎖

 糞土師とは、作者の伊沢正名さんが考えたことばで、糞(ウンコ)を土にする人、という意味。伊沢さんは、「命を自然に還す」ために、なんと50年もノグソをしつづけています。

 動物のウンコは、キノコ(菌類)が腐らせて分解し、土に還し、その養分で植物が成長し、その植物を動物が食べて、またウンコをして……というように、自然の命のつながりに、なくてはならない存在です。このような、ウンコなどの死んだものからはじまる命のつながりを「腐食連鎖ふしょくれんさ」とよびます。(「生きているもの」のあいだで行われる食物連鎖と対比させて、「下りの食物連鎖」ということもあります)

 だれかにとっては不要なウンコも、ほかのだれかにとっては生きるのに欠かせないごちそう(養分)となる、というわけです。

 一方でわたしたち人間のウンコは、トイレに流したあと、おもに下水処理場で処理され、最終的に残った灰は固めてコンクリートなどに変えられます。つまり、人間のウンコは腐食連鎖に組み込まれることなく、不要なものとして処理されてしまうのです。

 本作では、そのようなウンコの処理方法に疑問をもった伊沢さんの50年におよぶノグソ生活をご紹介します。また、土に埋めたウンコを掘り返し、ウンコが分解されて新しい命になる過程をつぶさに観察します。

トイレでウンコをしたのは、20年でたったの14回!

 作者は、いかなる状況のときも(「嵐の日でも夜中でも、旅行中でも都会にいても」!)、わざわざ電車に乗って野山に行ってまで、ノグソをつづけています。ここ20年では、トイレでウンコをしたのはたったの14回(執筆時)だけというから驚きです。

 自然のありようと人間のあるべき姿を真摯に考え、「ノグソをして命を還す」という誰も思いつかないような方法を実践し、「ウンコロジー」というひとつの方法論として確立した作者。その研究の集大成が、本作にぎゅっとつまっています。

 

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