icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r icon-close_01

作家が語る「わたしの新刊」

作者のお子さんにも大ウケ! 0歳からの絵本『ぐにゃぐにゃ わんわん』著者インタビュー

2024.01.17

「ぐにゃぐにゃぐにゃぐにゃ〜」「わんわん!」ページをめくると、ぐにゃぐにゃした線がぴーんとなって、かわいい絵に!

『ぐにゃぐにゃ わんわん』は、『じごくにアイス』(ひさかたチャイルド)などを手がける絵本作家のナカオマサトシさんと、人気イラストレーターfancomiふぁんこみさんのタッグでつくられた絵本です。絵本をつくることになったきっかけや、制作中の苦労や工夫したところなど、おふたりにお聞きしてきました!

ありそうでなかった、耳心地の楽しい赤ちゃん絵本ですね! 今回の企画はどのように生まれたのですか?

ナカオ:もともとfancomiさんとはべつの絵本の企画を進めていたんですが、打ち合わせ中にふとfancomiさんの絵を見て「ぐにゃぐにゃさせたらおもしろいんじゃないか」と思ったんです。それで、かんたんなラフといっしょにfancomiさんに提案したら、「それいいですね!」って盛り上がって、その場でいろいろ案出しをして。『ぐにゃぐにゃ わんわん』というタイトルといっしょに、あっというまにいまの原型になるテキストができあがりました。

初期のラフ

初期のラフ

でも、そのときの編集者さんは赤ちゃん絵本のご担当ではなかったので、「これ、おもしろいけど、どうしよう……」という話に。その後、しばらくはそのままになってしまっていたのですが、あるときにfancomiさんを通じて偕成社さんに企画を提案してもらって、紆余曲折の末、晴れて出版に進めることになりました。

制作中には、6か月から1歳半くらいに成長していくお子さんに何度も読んであげたと伺いました。そのときの反応はどうでしたか?

ナカオ:もともと絵本が好きなので、ふだんから息子にもたくさん読んであげていましたが、この『ぐにゃぐにゃ わんわん』は、ほかの絵本とくらべても、とくに反応がよかったんです。それはもう、びっくりするくらい。とくに「ぐにゃぐにゃ〜」のリズムのときに、大よろこびして楽しんでくれました。

『ぐにゃぐにゃ わんわん』の試作ダミーを読んでいるところ。8か月くらい。

大よろこび!

「赤ちゃん絵本」には昔から興味があって、『もいもい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の監修をした開一夫先生に、個人的に話を聞きにいったりもしていました。実際につくるのは今回がはじめてだったのですが、まわりの親子に読んでもらったときもいい反応だったので、「これはいけるかも」という自信になりましたね。

fancomiさんは偕成社では幼年童話『あしたもオカピ』(斉藤 倫 作)の挿絵を描いていただいています。今回のような「赤ちゃん絵本」はfancomiさんもはじめてですね。苦労されたところなどありましたか?

fancomi:ナカオさんからテキストをいただいて、最初に絵本のかたちにしたときは、いまとはまったくちがう絵柄でした。もっとなにかわからないくらいまでぐにゃぐにゃさせて、線の無いキュビズムっぽくデフォルメした絵柄にして。これもあらためて見るとかわいいんですけど、「すこし怖いのではないか」というような意見もあって。

それで、太いアウトラインをとった現在のかたちへと、すこしずつブラッシュアップしていきました。ただ、これがもうたいへんで……。相手は赤ちゃんなので、どのくらいの「ぐにゃぐにゃ」具合にしたら、ちょうどよく楽しんでくれるのか、そのあたりのさじ加減がわからない。それを探りながら、たくさん試作をつくりました。

試作品いろいろ。左上が初期のころのダミー。

やればやるほど迷ってくるので、最終的には悩みすぎてどれがいいのかわからなくなったりもしました。これまで絵本の仕事はいくつかありましたが、いちばん大変だったかもしれない(笑)。本ができあがったいまも「正解」はわからないですが、何度も試行錯誤をしていくなかで、納得のいくものになったと思います。

最後に、このページをごらんの方にメッセージをお願いします!

fancomi:この本は読み方しだいでおもしろさがいろいろ変わるので、お子さんといっしょにリアクションをとったり、体を動かしたりしながら、自由に楽しんでもらえたらいいなと思います。

ナカオ:制作中に読んでくれていた息子は2歳になったんですが、いまでは、外で犬を見かけると「わんわん、ぐにゃぐにゃわんわん!」っていうようになりました。絵本のタイトルをいえるようになったのは、はじめてのことです。子育てのこういうタイミングで赤ちゃん絵本をつくることができたのは、僕にとって小さな奇跡だなと思っています。ぜひたくさんのお子さんに楽しんでもらえるとうれしいです!


作:ナカオマサトシ
1982年、和歌山県生まれ。NHK Eテレ「シャキーン!」「デザインあ」「ノージーのひらめき工房」などの制作を経て、絵本作家としてデビュー。おもな作品に、『うれないやきそばパン』(金の星社)、『いってらっしゃいうんちくん』『じごくにアイス』(ひさかたチャイルド)、『アイスクリームおうこく』(ポプラ社)、『ねむたくないせんにん』(佼成出版社)など。

絵:fancomi(ふぁんこみ)
1980年、埼玉県生まれ。イラストレーター。広告、書籍、雑誌、CD、グッズ展開など幅広く活動している。絵本に『ガハクとブラシ』(小学館)『SMALL STORY』(SUNNY BOY BOOKS)、絵を手がけた作品に『あしたもオカピ』(偕成社)、『ねこがたいやきたべちゃった』(アタシ社)、『パンツはかせと はつめいのほうそく』(大日本図書)など。

この記事に出てきた本

バックナンバー

今日の1さつ

2024.11.23

本当に全部がすてきな絵本でした。コロナで疲れて暗い気分になる今、とても優しい気持ちになれて、静かにふるさとの小樽の海を想ったりします。想像するときはどこまでも自由です。本当に本は今とても大切なものだと思います。(60代)

new!新しい記事を読む