寒い季節になると、コンビニやスーパーに並ぶ肉まん。ふっくらとした皮と、ジュワッとあふれる肉汁がたまらないですよね。『きょうはふっくら にくまんのひ』(メリッサ・イワイ 作/横山和江 訳)には肉まんをはじめ、世界各地のおいしい “ダンプリング” がたくさん登場します!
今日は、肉まんをつくる特別な日!
主人公のリリは、おばあちゃんのナイナイといっしょに肉まんをつくるのが大好き! 二人は肉まんの生地をふっくらすべすべになるまでこねて、細かく刻んだ具材を炒めます。
ひとつひとつていねいに、餡を皮で包み終えたら、いよいよせいろに並べる……はずでしたが、「ザオガオ!!たいへん!!」とナイナイ。どうやら、せいろに敷くキャベツを切らしてしまったみたいです。
「6かいのバブシアからキャベツをわけてもらってきてくれる?」と頼まれたリリは、アパートの階段をスキップで駆け上がって、6階へ(不運なことに、エレベーターが故障していたのです)。
バブシアを訪ねると、こころよく、キャベツをまるごとわけてくれましたが……「ド・リハ!!まあ、なんてこと!!」バブシアは、ピエロギづくりにつかうじゃがいもに芽が生えてしまって、困っていたところでした。
バブシアから、じゃがいものおつかいを頼まれたリリは、今度は2階に住むグランマのもとへ。そこでも、ビーフ・パティをつくっていたグランマからおつかいを頼まれ、さらにその先でおつかいを頼まれて……。
アパート中を上へ下へと奔走したリリは、もうへとへと! やっとのことで、最初のおつかいのキャベツをもってナイナイのもとへもどり、さあ、肉まんづくりの再開です。
いろいろなルーツをもつおばあちゃんたちがつくる、それぞれのダンプリング
お気づきの方もいるかもしれませんが、このアパートには、いろいろな国や地域にルーツをもつ住人たちが暮らしています。リリが彼女たちを呼ぶ名前(ナイナイ、バブシア、グランマ……)はすべて、いろんな国のことばで「おばあちゃん」という意味をもちます。彼女たちが話す「たいへん!!」も、それぞれの国のことばです。
そして、住人たちがつくっている、肉まん、ピエロギ、ビーフ・パティなどは、実はすべて同じダンプリングの仲間。小麦粉を練ってつくった生地に、おいしい具材を入れた料理を総称して、英語で「ダンプリング」と呼ぶのです。世界にはほかにも、味やかたちのさまざまなダンプリングがあります。
本を閉じたあとは、巻末のナイナイ特製レシピを見ながら、ぜひ肉まんづくりに挑戦してみてくださいね。肉まんのように、じんわりと心を温めてくれる一冊です。