『女子サッカー選手です。そして、彼女がいます』の著者、下山田志帆さん。サッカーのチームメイトから見たシモ(下山田さんのあだ名)は、どんな人だったのか? 慶應義塾大学のソッカー部、なでしこリーグでいっしょにプレーしてきた野村智美さんに語ってもらいました!
シモとは大学のときからいっしょにプレーしています。シモはひとつ上なんですけど、体育会の寮にいっしょにすんでいて、先輩後輩みたいな感じではなく、家族のようにわいわい暮らしていました。
大学でオランダ遠征に行ったとき、相手の選手が私を激しく削ろう(相手の選手にぶつかるときにわざとはげしくあたったり、ときにはケガをさせること)としてきて。そしたらシモが日本語で「てめえふざけんなよ!」って言って守ってくれたことがあるんです。日本語ぜんぜん通じないのに。ありがたく感じつつも「シモそれ通じないから」って爆笑したのを覚えています。めちゃくちゃ熱い選手です。
私は直接「カミングアウト」はされていないけれど、わかってたし、知っていました。あらためて聞くことでもないなあ、聞いてなにが変わるわけでもないし、と感じていました。
ウェブの記事で、LGBTQ当事者であることを公表したときは、やっぱりちょっとびっくりしました。ほかの人からの見られ方やふだんの生活が変わってしまうかもしれないのに、勇気を出してやるんだと思って。でも、そうやって公表したことで、パートナーさんとの関係も前より全然オープンにできたし、よかったのかなと思います。
シモのいちばんすごいなとおもうところは「その人」として見られて、その上で自分の思いを発信できるところ。講演会やSNSで「○○の下山田」とかでなく、いち個人としての考えとか思っていることを「下山田はこう思う」とはっきりいえるところがかっこいい。ふだんぜんぜん思わないのに、そういうときは「先輩!」って思いますね(笑)。
大学時代の寮生活が楽しすぎたから、ゆくゆくは、おなじマンションにみんなで住んで、またいっしょにすごしたらどうかな? みたいな話をすることもあります。だれかが子どもを産んだりしたら、べらぼうにかわいがりたい、みんなで育てたい、みたいな。何年後になるかわからないけど、そんな夢を話したりしています。これからも長い付き合いになると思うんで、おたがい墓場に行くまでいっしょにいたいですね!
(談 野村智美 サッカー選手/スフィーダ世田谷FC所属)