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作家が語る「わたしの新刊」

子どもが「はーい」と答えてくれるのが楽しい!
「あけて・あけてえほん」シリーズ 新井洋行さん

2019.06.21

れいぞうこ』にはじまる「あけて・あけてえほん」シリーズは、発売から10周年! 毎回「○○さーん」「はーい」の掛け合いが登場し、「子どもがいっしょにお返事をしてきいてくれる」という声が多数届いています。このシリーズ7年ぶりの新刊のテーマは、みなさんの家にもきっとある「ほんだな」。著者の新井洋行さんに新刊とシリーズへの思いをうかがいました。


ほんだな


「あけて・あけてえほん」シリーズ、最初の一冊が出てから10年になります。1冊めの『れいぞうこ』の本が生まれたきっかけのようなものはありますか?

『れいぞうこ』を考えたころは、赤ちゃんだった娘たちと毎日一緒に遊んだり絵本を読んだりしていて、娘の喜怒哀楽を自分も共有できているような感覚になっていました。電車に乗っているときにふと『れいぞうこ』のアイデアが向こうからやってきたのですが、その瞬間に、「これは娘が喜ぶ絵本だぞ」と思ったのを覚えています。

れいぞうこ

たくさんの絵本を出されていますが、あかちゃん絵本をつくるときに、とくに心がけていることなどはありますか?

赤ちゃんが聞いて楽しいというのはもちろんですが、読み手の大人のかたが「この絵本で赤ちゃんを楽しませてやるぞ」って、読むことを楽しんでもらえるようにと思いつつ作っています。絵本で赤ちゃんを楽しませるのは、絵本と読み手のかたの共同作業だと思っています。

シリーズのなかで欠かさず出てくるのは、「○○さーん」と呼びかけて、「はーい」と答えがかえってくるやりとりです。読んでいると、子どもが「はーい」と答えてくれて楽しい! と、とても人気がありますが、この掛け合いはどんなときに思いつかれたのでしょうか?

絵本のアイデアは向こうからやってくるので、思いついたという感覚はないのですが、赤ちゃんの身のまわりのものたちが「○○さーん」と呼ばれて飛びでてくる感じは、とても楽しいものだと思っています。コミュニケーションって子どもから大人まで最高に楽しいことですよね。そのはじめの一歩が「○○さーん」「はーい」なのかもしれないですね。

 
『ほんだな』はこのシリーズで久しぶりの新刊ですね。“本棚”を選ばれた理由はなにかありますか?

このシリーズは、赤ちゃんの身のまわりのものが生きているかのように飛びだしてくる、というのがコンセプトなので、どの絵本も赤ちゃんが毎日ふれあうものがモチーフになっています。絵本が赤ちゃんのまわりにいつもあるといいなと思っていますので、今回は本棚を主人公にしました。


 

新井さんの本棚にはどんな本があるのでしょう? また並べかたなどに、なにか決まりや工夫などありますか?

もののなかでいちばん好きなものが本なので、本棚も沢山あります。小説用、雑誌用、絵本用、漫画用などなど、おおまかにわけて使っています。本のなかでもいちばん好きなのが画集や写真集などの作品集です。作品集と、とくに好きな絵本がアトリエの本棚に並んでいるのですが、その1段に自分の描いた絵本を置いています。好きな本のなかに置かれたときに違和感のないような絵本を作りたいと思ってそうしています。

プロダクト、グラフィックデザイン、レタリング、ストリートアート、イラストレーション、写真などの作品集です。お気に入りが並んでいます。本棚から数冊抜きとって眺めるのが至福のときです。

絵本作家になろうと思って会社を辞めたころに、バンニャイのこの2冊の絵本に出会って、こういう本作りがしたいと強く思った記憶があります。

 シリーズ全体を振りかえって、なにか思うところがありましたら……。

『れいぞうこ』と『おしいれ』から始まったこのシリーズ、たくさんの人に長く愛される絵本になりますように、と思いつつ描いてきましたが、10年も続くとは思っていませんでした。読んでくださっている読者のかたがたと、長く置いてくださっている書店員さんたちのおかげだと思います。本当にありがとうございます。

これからも引き続きみなさんに読んでいただいて、10年20年と続き、世代を超えて愛される本になってくれたらうれしく思います。そして、この絵本を楽しんでいただいたあとには、そこから続きのように、ほかの絵本を読んでもらえたら……。世の中には星の数ほどすばらしい絵本がありますので、たくさんたくさん、お子さんと絵本の世界を楽しんでいただきたいです。


新井洋行
1974年生まれ。雑貨や木の積み木などのデザインを数多く手がけるデザイナーでもある。二児の父。絵本に『れいぞうこ』『おしいれ』『おふろ』『ひきだし』『といれ』『ねんどのむにゅ』(以上 偕成社)など。

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