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今週のおすすめ

教科書でもおなじみ。絵本で読む名作の代表格・黒井健さん『ごんぎつね』『手ぶくろを買いに』

教科書で採用され、読みつがれてきた新美南吉の名作「ごんぎつね」。多くの絵本版が刊行されるなかでも、代表作としてまずあげられるのが、黒井健さんの絵が入ったものです。この絵本は、黒井さんにとっても、長きにわたる絵本作家人生のなかで転機となった、忘れられない1冊だそうです。

黒井健さんの新境地となった『ごんぎつね』

 とある村の山に暮らす、ひとりぼっちの子狐「ごん狐」。いたずらっこのごんは、ある日いつもの出来心で、川で魚をとっていた兵十のびくからうなぎをとってしまいます。ところが、しばらくして、兵十のお母さんが亡くなったことを知るのです。自分と同じくひとりになってしまった兵十。もしかしたら、あのうなぎをお母さんは最期に欲しがったのかもしれない……。こころを痛めたごんは、せめてもの償いにと、兵十のうちへ来る日も来る日も、栗やまつたけを届けにいきますが……。

 黒井健さんは、もともと編集者として働きはじめ、イラストレーターとして独立。たくさんの絵本を描きましたが、その絵本が、書店に置かれているのをみることは少なかったそうです。落ち込み、スランプに陥っていたときに、偕成社の編集部から依頼されたのが「ごんぎつね」の絵本化だったそうです。それは、「日本の童話名作選」という、名作を一流の画家たちに描いてもらおうという企画のなかの1冊でした。
 
 新美南吉の故郷を訪ねるなどして取材を重ね、黒井さんは絵本『ごんぎつね』で、まさに新境地にたどりつきます。表紙を描き終えたとき、黒井さんは「これはいったい誰が描いたのだろう」と思ってしまうほどのめりこんだそうです。

 偕成社でもロングセラーとして、多くの愛読者ハガキをいただく作品ですが、以前このようなお便りをいただきました。

様々な画家の方が名作「ごんぎつね」の絵を描いておられます。黒井健の絵を見たとたん「これだ!」と思いました。(60代女性より)

 黒井さんがこの物語を大切に読みこみ、愛情をもって南吉の想像した風景を描ききったからこそ、多くの読者から「この1冊」として選ばれるのですね。

親子で読みたい『手ぶくろを買いに』

 『手ぶくろを買いに』も、『ごんぎつね』と並ぶ新美南吉の代表作です。
 冬のある日、初めての雪を見た子狐はおおはしゃぎ! やわらかい雪のうえをかけていたらすっかり手が冷えてしまいました。
「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする。」

 そこで母狐は、人間の町で、子狐に毛糸の手袋を買ってあげようと思います。子狐の片手を人の手にかえ、銅貨をにぎらせて、「かならず人間の手の方を差し出すんだよ」とよくよくいいきかせます。
 
 トントン。
「このお手々にちょうどいい手袋ください」
ところが、子はお店でつい、狐の手のほうを出してしまったのです。子狐は無事に手袋を買えるのでしょうか。
 
 母親の子を思う気持ち、子狐の初めてのお買いものの緊張がうつくしい文章からあふれるように伝わる、冬に読みたいとっておきの絵本です。

2冊あわせて、声にだして読みたい名作絵本

 童話を絵本にしているため、通常の絵本にくらべて文章が長いのですが、その長さにも十分たえられる、想像のふくらむうつくしい挿絵が入った2冊の絵本。
 新美南吉のとぎすまされた言葉は、心の中で読むの良いですが、声にだして読むと、そのうつくしさがいっそう引き立ちます。ぜひ親子での読み聞かせをおすすめしたい絵本です。

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今日の1さつ

娘に読ませたくて、ホームズの本を探しておりました。現代マンガ風の挿絵のものもある中、こちらは当時の雰囲気が伝わる本格的な感じで、字も読みやすく、8才の子でもふりがながのっているおかげで、ちゃんと読めたようです。今まで児童文学文庫=岩波少年文庫と思っておりましたが、偕成社文庫のラインナップが気に入り、書店ではまず、こちらの棚をのぞいております。

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