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今週のおすすめ

なんでもない毎日のなかの一瞬のきらめきをとじこめた『はるなつ あきふゆの詩』

きょうは、詩の絵本のご紹介です。「詩」ときくと身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカから届いた『はるなつあきふゆの詩』(ジュリー・フォリアーノ 詩/ジュリー・モースタッド 絵/石津ちひろ 訳)は、とっても親しみやすい1冊。忙しい毎日のなかで、ふと手にとってみると、ほっと心を落ち着かせてくれます

日記みたいによめる、季節ごとのひとりごと

 春の訪れを教えてくれる、一羽の小鳥。夏の海べで食べる、しょっぱいピーナッツバターサンド。秋の風を感じて、きゅうに恋しくなるセーター。冬の日あたたかい部屋でゆっくり過ごすしあわせ。

 きちんとつかんでおかないと、なんとなく通り過ぎてしまうかもしれない。でも、どんな人の心にも何気ない心地よさをあたえてくれる。そんな、なんでもないふつうの日の、季節の一瞬のきらめきを、女の子のまっすぐな目でみつめ、日記に書き留めたような詩が48編入っています。

 いくつか詩を紹介してみますね。

 まずは、日付の近いこちらから。

5月20日

「はやくどこかにいって」
わたしは雲にささやいた
太陽には聞こえるように
でも
雨を起こさないように気をつけながら
「イチゴはぷんぷんおこってるし」
バラだってため息ついてる
わたしこの耳で
たしかに聞いたんだから」

雨や雲、太陽に直接お願いしたくなる気持ち、うなずいてしまいます。

もうすぐやってくる夏の章にはこんな一編。

7月12日
あと何日かしたら
わたしたちは海にいく
海でおよいだあとは
ピーナッツパターサンドと
プラムを
みんなでたべるの
海のようにちょっぴりしょっぱい
ピーナッツバターサンドや
おひさまの味がするプラムほど
おいしいものはないって
おもいながら

太陽の味のするプラム! 口のなかにあのどっしりとした甘みが広がってくるようです。

 いかがでしょうか? どの詩も、すっと心に季節の風をとおしてくれると思いませんか?

愛らしいイラストと、心のなかでずっと大切にしたくなるコトバ

 どこかなつかしい気持ちにさせてくれる、愛らしいイラストを描いているのは、カナダ在住のイラストレーター、ジュリー・モースタッド(Julie Morstad)さん。どれも小さな額にいれて飾っておきたいような、心を明るくしてくれる絵ばかりです。ページをめくるごとに、乙女心がゆれうごいてしまいます! ホームページから、彼女が手がけているほかのイラストもご覧いただけますのでぜひこちらもチェックしてみてくださいね。
https://www.juliemorstad.com/

 翻訳を手がけたのは、たくみな言葉遊びでも知られる、詩人の石津ちひろさんです。元の詩の世界感をそこなうことなく、うつくしい日本語におきかえてくださいました。

 季節の詩情あふれる絵とともに、コトバひとつひとつが大切な宝物になりそうな一冊です。ぜひお手に取ってみてくださいね。

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「ハンカチ カーチ カチ」の繰り返しが楽しくて心地よい。とても良い絵本だと思います。(2歳・お父さまより)

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