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本のイベント

特別支援学校での読み聞かせ

 先日、東京都立墨東特別支援学校での「おはなし会」に伺ってきました。

 こちらの特別支援学校は、身体障がいや病弱教育を必要とする子どもたちの学校で、クラスは障がいの重度別にわかれています。授業のほかにも、ひとりひとり異なる日常の支援が必要となる場面も多く、学校と生活、両方の面で子どもたちを支える先生方の毎日は本当に多忙です。

 そんななか、東京都立墨東特別支援学校では、図書活動にご熱心な生井恭子先生が中心となり、図書室を利用しやすいように整備しなおし、現在、毎月2〜3回のペースで、ボランティア団体「うさぎさん」による「おはなし会」が開かれているそうです。今回、ご縁があってそのようすを見学させていただきました。

 おはなし会は必ず、「うさぎさん」のぬいぐるみの歌とごあいさつからはじめると決まっているのだそうです。「うさぎさん」のぬいぐるみが登場すると、子どもたちは大よろこび! もうすっかり子どもたちのお友だちとなっていました。ひとりひとりとのごあいさつタイムでは、みんなうさぎさんの手をとったり頬をスリスリとよせたり。「おっとな〜りさんっ♪ おっとな〜りさんっ♪」という声とともにうさぎさんが隣の子の方へ移動してしまうと、名残惜しそうに手を伸ばしている子もいました。

  障がいの重度別にA、B、Cすべてのクラスの「おはなし会」に参加させていただきましたが、どのクラスでも、子どもたちは熱心に読み聞かせに耳を傾けていました。みんなきちんと椅子に座って集中して聞いていたAクラス、絵本にでてくる動物のあてっこで、次々に手があがり盛り上がったBクラス。Cクラスでは、全体的に音声による意思疎通がなかなか難しく、身体を横にして過ごす子どもたちが主でした。当初、表情の変化に気付けなかったスタッフも、しばらくおはなし会をみていると徐々に、うれしいときの様子がわかるようになりました。お花の絵本を近くでめくっていくと、好きなページにきたとたんに目がキラキラ輝くなど、ふっと表情のかわるときがあります。とても短い時間のなかでしたが、絵本を通じて、それぞれの子の個性を垣間見ることができた体験でした。

 このお話会を率先して運営されている生井先生は、「おはなし会を通して、言葉が存在することを言葉によって伝え、言葉で人と人が関わりをしていることを学んで欲しい」という思いがあり、忙しい中も、この活動を継続しているのだそうです。ボランティアの「うさぎさん」たちは、障がいをもった子へ向けたおはなし会は初の試みでしたが、試行錯誤しながら子どもたちが喜んでくれるポイントを探していったのだそうです。それぞれのクラスに合わせて、まさに「手をかえ品を変え」!工夫にあふれた読み聞かせ活動をされているのが印象的でした。

 偕成社では障がいを持った子のための本として、「目がみえない子のための本」を多数出版していますが、絵本を手にとり、見て、読み聞かせに耳を傾けることができれば、健常者の子も障がい者の子も好きな絵本に違いはないのだなということを、改めて感じました。
 自分で本をめくることができない子、読み聞かせに集中してもらうためのちょっとした遊びをしてあげたほうがよい子、さまざまに特徴の異なる子どもたち、それぞれに合った工夫をして本を手渡してくださる方たちがいらっしゃることは、本当にありがたいことだなと感じました。

 特別支援学校での読み聞かせの輪が今後とも少しずつ広がることを願います。

(販売部 宮沢)

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今日の1さつ

とつぜん魔女が現れていろいろな話を聞かせてくれるということが不思議で一気に読んでしまいました。岡田さんの本は他の本も場所が学校のものが多くていろいろ想像しながら読めるので何度も読みました。(11歳)

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