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編集部だより

祝 小学館児童出版文化賞受賞! 絵本『つちはんみょう』制作秘話

 こんにちは。編集部の丸本です。
 あっというまに11月も後半。そろそろ今年をふりかえるような時期になってきました。
 
 僕にとっての「2017年 うれしかったことベスト1」は、なんといっても、担当している絵本、舘野鴻さんの『つちはんみょう』が、第66回小学館児童出版文化賞を受賞したことでした! 11月9日には、如水会館という大きなホールで授賞式もおこなわれ、たくさんの関係者やご友人があつまり、盛大にお祝いをしました。

前段右が舘野さんです(写真:小学館  五十嵐美弥)

「ほかの作品と比べられない、『つちはんみょう賞』をあげたいくらいでした」という選評をくださったのは審査員の荒井良二さん。福音館書店の元編集者、澤田精一さんからは「科学絵本の領域を越えた」というありがたいお言葉をいただきました。ちなみに、出席者に配られる要項にお祝いのことばをよせてくださったのは、なんと池澤夏樹さん! もうめちゃくちゃ豪華です。
 
 舘野さんは噺家のようにユーモアたっぷりのスピーチのあと、「これからも命をかけて描いていきます!」と今後の抱負を力強くかたってくださいました。
 

(写真:小学館  五十嵐美弥)

会場には原画もかざられました(写真:小学館  五十嵐美弥)

 
 この『つちはんみょう』という一風変わった絵本。
 じつは、完成までにとてもとても長い時間がかけられた作品です。デビュー作『しでむし』のころから考えていらしたので、なんと構想10年! 小学生が高校生になっちゃいますね。
 舘野さんは、これまで明らかにされていなかった生態の一部を7年にもおよぶ調査のなかで明らかにし、そのあらたな知見をもとにしてこの絵本をつくりました。
 
 絵本は、ラフ絵とテキストを組み合わせて本っぽくした「ダミー」をつくりながら、かたちにしていきます。僕が偕成社に入社したのは2013年。ちょうど2作目『ぎふちょう』が刊行された年で、舘野さんと先輩編集者で次作『つちはんみょう』のダミーを練っているところでした。

何度目かにつくったダミー。表紙の雰囲気も出来上がった絵本とすこしちがいますね

この場面はその後の調査で月夜のシーンにかわりました

 これをもとに、何度も何度もやりとりをしながら、展開や場面、ネームを決めていきました。それでようやく全体がまとまったのが、2014年の1月。ここから原画制作にとりかかっていただき、約2年間(!)の作画期間を経て、2016年4月に晴れて出版となったのです。
 
「対象がきちんとわかっていないと描けない」と、よく舘野さんは話します。作画していただいているとちゅうも、よく野良にでて、いろいろな虫をとったり観察したりしていて、同行させていただくこともあります。
 
 
 この日は舘野さんの自宅の近くにある林道へ。すこし歩いていくと…
 

緑がしげったなかに、白くてきれいな花が!

ようく見ると、コガネムシがとまっています

こっちにはルリシジミも!

 
 この花は「アカショウマ」といって、『つちはんみょう』の絵本のなかでも印象的に登場します。
 
 
 舘野さんは慣れた手つきで、アカショウマにやってくる虫たちを捕まえていきます。そうやって連れてかえった虫たちをつぶさに観察しては、絵の参考にしています。
 
『つちはんみょう』には印象的な絵がたくさん登場しますが、なかでもものすごい迫力を放っているのがこちら。
 
 
 孵化したばかりのつちはんみょうの幼虫(なんと体長は1mm以下!)が地面をはうシーンです。じつは、これにもちゃんと、もとになった場所があるのです。
 

左が土手になっています

ぱっと見、完全にあやしいひとです…

 
 舘野さんはこんなふうにしゃがみこんだり顔を地面に近づけたりしながら、つちはんみょうの幼虫をさがします。残念ながらこの日は見つけることができませんでしたが、こうした地道な観察があって、絵ができあがっていきました。同行した僕はうしろからついていくだけで精一杯。舘野さんの家でおいしいシチューをいただいたりして、帰りの電車では気絶するように眠るのでした…。
 
 こんなふうにして出来上がっていった絵本、『つちはんみょう』。まだのかたはぜひ、この機会にお手にとってみてください。うつくしい絵の数々に、きっと虫がきらいなひとでもしぜんと引き込まれるはずです。
 

受賞オビがつきました!

 ちなみに、すでにつぎの作品を鋭意製作中です。その虫の名は……
 

(写真:吉田譲)

 
じゃーん、ガロアムシです!
 
「なんですか、それ?」というかたも多いかとおもいますが、これも話すとながくなるので、またこんど! とにかくすごい絵本になっていますので、乞うご期待です。
 
 
(編集部 丸本)

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今日の1さつ

描かれている町のモデルのような田舎に住んでいるわけでもないのに、読んでいると思い出す感覚や匂いがあります。こどもの頃の放課後などです。外で遊んでだりして、都会にいても自然を感じとる力が備わっていたのかなと思います。とてもすてきな感覚を思い出すことができました。(20代)

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