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編集部だより

ようちえんが青春だった

 こんにちは! 編集部の小宮山です。
 
 新しいKaisei webで、編集部だよりがはじまってふた月ほど。なにか気軽なブログを書こう!と思っていましたが、路線変更、今回はちょっとしっとりしたお話です。
 
 というのも、ちょうどこの10月に、かつてわたしが通っていた幼稚園がなくなるからなのです。(通っていた園は、「幼稚園」ではなく、「幼児園」という名前だったので、ここからは「幼児園」とします)
 
 閉園。さみしいひびきです・・・・・・
 
 まずは、三十数年前に、わたしが通っていた松ヶ丘幼児園の歴史をすこし紹介します。
 
1967年に、神奈川県綾瀬市にできた松ヶ丘幼児園。
住宅地として開発されたばかりの地域で、少人数で保育する園としてスタート。
2000年に0~3才以下の子を対象とした幼児教室もはじめ、
2007年に幼児園としての役割は終了、2017年3月に幼児教室が閉園しました。
50年ものあいだ、同じ場所で続いていた園です。
 
 その園がぜんぶなくなる!
 
 園長の折原先生が、世界各地で選んできたおもちゃ、収集した部屋いっぱいの絵本、すみずみまで大切にメンテナンスし続けた園庭。このすべてがなくなるのは、さみしー!
 わたしが遊んでいたおもちゃも、現役で活躍していたので、幼なじみがいなくなるような気持ちです。
 
 みなさんにも、そんな場所、ありませんか?
 
幼児園の園舎写真

松ヶ丘の園舎。2階は、園長の折原先生が暮らしていたおうちでした

 
 偕成社に入社したばかりの2006年。「子どもたちのことをもっと知りたい!」と思い、定期的に、卒園したこの園を訪問していたときがありました。そのときに、せっせとメモしていたノートをひらくと、園の生活がみえてきます。
 
 ある日のおべんとうの時間から帰りの時間まで。
 
折原先生 「きょうは(夏休み前で)おべんとう最後だから、帰ったら『ありがとう』って言いましょう」
 
 「うんうん」とうなずく子どもたち。おべんとうばこをあける瞬間、子どもたちはにぎやかになって、こんなおしゃべりをはじめました。
 
年中さん 「これ、イタリアンだ!」
 
年長さん 「これ、マンゴー! おとうさんがね、『よくはたらいた』ってことで、もらってきたの」
 
年中さん 「このまえ、スイカのたねたべたの。はなとかおしりから、めがでるかとおもった!」
 
年中さん 「わたしもサクランボのたねたべた!でもだいじょうぶだった!」
 
(→メモを見返して笑ってしまったのは、「よく働いたからもらったマンゴー」のところ。会社員には生々しいですね。ちなみにわたしは毎年、ハムをもらっています)
 
 だいたいみんな食べ終わったかなーというところで、犬のダーちゃんが部屋にころがりこんできます。みんなのテーブルの下を「ふんふん、ふんふん」とかぎまわり、落ちたものをぱくっ。
 
折原先生 「食べこぼしが多い子は、ダーちゃんが行くから、すぐわかっちゃうわねー」
 
 子どもたちみんな、下をきょろきょろ。
 
(→「ダーちゃん」は、先生が飼っていた犬ダニーの略。園には犬がいて、子どもたちといっしょに園庭をかけまわっていました。園に犬がいるなんて!うらやましい)
 
幼児園の園庭写真
 
 おべんとうが終わると、帰りのしたくをしてみんなで集まります。まちがえて他の子のいすにすわってしまった年少さんを、年中さんが引きずり下ろそうとして、泣かせてしまうと……
 
折原先生 「こういうとき、どうすればいいのかな?」
 
子どもたち 「ことばで、いうー!」
 
折原先生 「(年中さんに)『そこは、けんたろうくんの席だから』って、つたえればいいのよ。むりやりどかせようと思ったらいけない。(年少さんに)泣いちゃだめ。言葉で言うのを忘れて、泣いてるだけだったら、赤ちゃんです」
 
 折原先生は、最近、こんなふうに話していました。
 
 「子どもの生活には、毎日、とんでもないことが起こる。子どもたちには、いやなことをされたり言われたりしたら、『やめて』だけでもいいから、口で言いなさいって言ってるの。『やめて!』って言えた子に、『そうそう、それでいいのよ』と伝えてるのよ」
 
 「子どもたちが帰ったあと、毎日そうじをしながら、『あの子に、あのときこうしていたらどうなっていたかな』って考えていた。毎日起こる、とんでもないできごとを思い返して、あの手この手を考えてたのよ」
 
 そんなふうに、小さい人たちと過ごしてきた50年。
 いま、卒園生であるわたしは、「毎日、とんでもないことが起こる」子どもたちに向けて、本を作る仕事をしているのだけれど、「あの手この手」を考えられているだろうか、そうなりたいなと思うのでした。
 
 
 幼児園が閉じるという2007年に、「園の生活をおさめておきたい!」と、あわてて、写真家の新井卓さんに撮影をお願いしたことがありました(新井卓さんは、『世界のともだち・ドイツ』を撮影された写真家さんです!)。そのときの写真もこちらで紹介します。
 
 
幼児園の子どもたちのくつがならぶげたばこ写真
 
 
園庭の遊具で遊ぶ子どもたち
 
白い犬の写真
 
 
折原先生と男子園児が見つめ合うお弁当の風景写真
 
 最後の1枚に写っているのが折原先生。
 
 今回は、「おもひでぽろぽろ」なブログでした……。次回の「編集部だより」は、きっと、抱腹絶倒、楽しいものになることと思います。ということで、つぎにバトンタッチ! 引き続き、編集部だよりをよろしくお願いします。
 
 二代目・園の犬ツンちゃんと折原先生たちは、間もなく長野で新しい生活をはじめるそうです。どうかいつまでもお元気で!
 
 
(編集部 小宮山)

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今日の1さつ

娘がまだ0歳のときから読み聞かせています。本の絵、色、デザイン、こまかいところまで子どもは見逃さないんですね。親がスルーしてしまうところも気がつく、そんなおもしろさが子どもには魅力なんですね。絵本から子どもがはじめて学ぶことはたくさんあります。これからも愛読したい本です。(2歳・お母さまより)

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