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偕成社文庫100本ノック

第71回

海底二万里

『海底二万里 上』ヴェルヌ 作/大友徳明 訳

 突然だが、私は根っからの理系である。

 理系には理系のロマンがある。聡明な博士の正体が二重人格の殺人鬼だったり、病窓から見える花びらに自らの生命を重ねたり、乗客を助けるためにクリスチャンの車掌が暴走する列車の前にその身を投げたりという人間ドラマも素晴らしい。だが質量がエネルギーと等価である事を数式化した相対性理論やハッブルの膨張宇宙論もそれに劣らぬロマンであり、南部陽一郎の超ひも理論が描く10次元宇宙論には戦慄すら覚えるのだ。

 という訳で今回のテーマはSF。少し不思議なサイエンス・フィクションの世界だ。その中でも海洋SFの金字塔、ジュール・ヴェルヌの『海底2万里』を取り上げてみようと思う。

 本書が書かれたのは1870年。実に145年もの昔に遡る。しかし読者はほぼ例外なく、これは現在の(もしかしたら少し未来の)預言書なのではないかと思えてくるだろう。主力艦ノーチラス号の内部構造をはじめとする数々の具体的な記述に、この本がエジソンが電球を発明する10年前に書かれたものだというのをすっかり忘れて世界観にのめり込んでしまう。海中を走る謎の巨大生物、勝手な憶測で騒ぎ始めるマスコミ、その正体が潜水艦だと分かった時の衝撃。圧倒的なリアリティだ。今でこそ海中で酸素を作り出し何年間も潜り続けられる原子力潜水艦が実在するが、そもそも潜水艦の原理すら知らない当時の読者は驚いただろう。何より魅力的なのは人物像で、ネモ船長はマッドサイエンティストの原型を作り上げたと言っても過言では無いと思う。

 ワンピース、宇宙戦艦ヤマト、ふしぎの海のナディア……スターウォーズもそう。これらの作品が好きな人は是非、本書を読んでみて欲しい。これはSFであると同時に海洋冒険小説であり、孤独な反逆者を描いたヒューマンドラマであり、排他的な社会を貫く風刺でもあるのだから。

 そして「こんなメカがあったらいいなあ」と思ったキミ。理系の世界へようこそ。

(販売部 西川)

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今日の1さつ

私の一番の大好きな絵本です。大切な友人に教わりました。病院で入院しているときに出会い、夢をあきらめかけていた私をはげましてくれた1冊です。涙し、これからの人生の永遠の本となります。ありがとうございました。(30代)

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