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偕成社文庫100本ノック

第48回

ほらふき男爵の冒険

『ほらふき男爵の冒険』
ミュンヒハウゼン 作/高橋健二 訳

 わらい話や不幸話、はたまたじまん話をともだちにするとき、つい大げさに話してしまうことってありますよね。おさけの席などでは、そんな話につきあうこともしばしば。僕はそういう時間がけっこう好きで、「うそだぁ」なんていいながら、いつまでも聞いていられます。

 今回紹介する『ほらふき男爵の冒険』は、ミュンヒハウゼン男爵によって友人たちに語られた、冒険物語の数々をあつめたもの。タイトルからお察しのとおり、この男爵がもう相当な「ほらふき」で……ちょっと呆れてしまうくらいのほら話を、あたかも本当のことのようにしれっと話してしまうので、「それでそれで?」と、つい前のめりになりながら読みすすめてしまいます。

 たとえば、男爵がお気に入りの馬にのって駆けていたときの話。前方に広がるどろ沼を華麗に飛び越えようとして、うっかり沼に落ちてしまいます。
「そのとき、わたしは、じぶんのうでの力で、じぶんのえりがみをつかみ、ひざにしかりはさんだ馬もろとも、じぶんをひっぱりあげなかったならば、きっとそこで死んでいたことにちがいありません。」

 いくつも話を聞いていると、さすがにほら話にもなれてきて、「またまた~」なんて呆れながらページを繰るのに、もはや快感をおぼえる始末。

 中でもひじょうに腹立たしく(!)、そしてほほえましいのが、話の端々で「すこしはつくり話めいてきこえるかもしれませんが……」とか、「……みなさんのなかにわたしのいうことを、うたがうかたがおありでしたら、わたしはそのかたのうたがいぶかさに心から同情を表するとどうじに……」とか平気でいったりするところ。そんな男爵の強気な姿勢も、愛くるしくて笑えます。

 全編で登場する、ギュスターヴ・ドレによる繊細で滋味のある絵も、この本のおおきな魅力のひとつです。奇想天外な男爵の話を、みごとにわかりやすく、そしてうつくしい絵に仕上げています。

 ことしも暮れにさしかかり、寒さが日ごとにましていくこのごろ。あたたかくした部屋で、ときにはツッコミをいれながら、ミュンヒハウゼン男爵のほら話につきあってみませんか。

 ※このお話をもとにして書かれた、斉藤洋さんとはたこうしろうさんによる「ほらふき男爵」のシリーズ(『ほらふき男爵の冒険』『ほらふき男爵の大旅行』『ほらふき男爵どこまでも』の全3巻)もオススメです!

(編集部 丸本)

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うちのダンナさんが、珍しく「おもしろい!絵もすごい!」と声をあげていました。明日、現在勤めている園で初めて読み聞かせしてみようと思います。(28歳)

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