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偕成社文庫100本ノック

第46回

モロー博士の島

『モロー博士の島』H・G・ウェルズ 作/雨沢 泰 訳

 肌寒い日が続いていますね。
 冬の入り口という感じです。朝晩とブルッとすることが多くなりましたが歯を食いしばって耐える毎日です。まあ、コートやマフラーを出せばいいだけの話なのですが…。なんとなく12月前にコートを出すと負けた気になるのは私だけでしょうか?

 さて、今回は身体ではなく心がブルッとしてしまう物語、『モロー博士の島』を紹介します。作者はH.G.ウェルズ。『宇宙戦争』『透明人間』『タイムマシン』などの代表作は映画化されたりしていますのでご存じの方も多いかもしれません。ジュール・ヴェルヌと共に「SFの父」と呼ばれるH.G.ウェルズですので、ブルッとすると言ってもホラーではなくサイエンスフィクションの物語です。

 船が難破、漂着した孤島でプレンディックが出会ったのは生物学者であるモロー博士。モロー博士は南海の孤島で10年以上も恐ろしい実験を行っていました。プレンディックが目の当たりにするモロー博士の狂気、次から次に現れる異形の者たち、助けの来ない孤島での絶望感、どうしようもない現実の嵐に飲み込まれていくプレンディックの恐怖に同調し始めた時、この物語は一気に疾走していきます。プレンディックは危機的状況を切り抜けることができるのか、怖いなと思いつつページをめくる手が止まらない1冊です。

 内容に触れるとネタバレ一直線ですので説明が難しいのですが……。物語のキーワードを少しだけ。「生体解剖」です。作中でモロー博士の「生体解剖」に関連する狂気の実験が生々しく表現されています。絶対にあり得ないと知りつつ、「もしかしたらありそうだな」と思ってしまうほどH.G.ウェルズが描く科学技術はいつもリアリティに溢れています。読んでいただければ分かるかと思いますが、これが100年以上前の物語とは!! 色あせない物語の力を感じずにいられない作品ですよ、これは。

 科学技術は進歩にも狂気にも使われるという警鐘と共に、H.G.ウェルズの「人間への絶望と希望」がないまぜに描かれているように思います。この作品を読んだ後、みなさんが科学技術の発展した現在の世界をどのように感じるのか、是非とも聞かせてもらいたいものです。

(販売部 大西)

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