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偕成社文庫100本ノック

第24回(プレイバック中!)

白雁物語 スノーグース

『白雁物語 スノーグース』 ギャリコ 作/古沢安二郎 訳

 かっこよすぎる、ラヤダー!

 ポール・ギャリコという作家が書いた『白雁物語 スノー・グース』をご紹介しましょう。
 この本には、短編が二編入っています。(「スノー・グース」「小さな奇跡」)

「スノー・グース」の主人公ラヤダーは、体の不自由な絵描きで、灯台にひとり住んでいます。
 というと、へんくつな人かと思ってしまいますが、実は心やさしい男で、野鳥を囲って世話をし、絵を描きながらくらしていました。
 そこへ、けがをしたスノー・グースを抱いて、少女フリスがやってきます。鳥の傷をなおしてくれたラヤダーに、少女は少しずつ心を開いていきます。
渡り鳥であるスノー・グースは傷がいえると野生に戻りますが、毎年秋にはラヤダーの囲い地に帰ってくるようになり、その間だけ、フリスもラヤダーのもとを訪れます。
 そうして何年かがたったある日のこと。ラヤダーは、ある目的のために船に乗りこんで灯台をはなれます。ある、尊い行いのために……。

 この物語は、孤独な男と鳥との心の交流の話でもあり、少女と絵描きの愛の物語でもあるのですが、それ以上に、社会のはみ出し者とみられていた人物がだれにも知られずにおこなった貴重な行動の美しさを描いた物語です。

 ギャリコの小説ではこのように、純粋な熱意をもった名もなき人の大胆な行動が予想もしない結果を生み、意図せずに奇跡的なことが起こるさまが描かれます。「小さな奇跡」もしかり。

 人間が持っているよいところや崇高な心を、美しいストーリーによってえがいてみせてくれるギャリコ。作家になるまえは新聞のスポーツ担当記者をしていたといいますから、人間観察力にすぐれ、ふところの深い人だったのではないかと思います。
 この本を読んで興味がわいたら、いつか、ユーモアをまじえて書かれた長編も手にとってみてください。
あたたかくてほろにがく、読書の楽しみが味わえて、きっと勇気をもらえるはずですよ。

(編集部 和田)

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今日の1さつ

描かれている町のモデルのような田舎に住んでいるわけでもないのに、読んでいると思い出す感覚や匂いがあります。こどもの頃の放課後などです。外で遊んでだりして、都会にいても自然を感じとる力が備わっていたのかなと思います。とてもすてきな感覚を思い出すことができました。(20代)

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