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偕成社文庫100本ノック

第13回(プレイバック中!)

ポー怪奇・探偵小説集(1)

『ポー怪奇・探偵小説集(1)』E・A・ポー 作/谷崎精二 訳

 きみは何が一番怖い? 顔の半分が焼けただれた幽霊?
 紅蓮の火を噴くモンスター? トイレですすり泣く花子さん?
 もしかするとお母さんかも知れないな。でも僕は思う。一番怖いのは勝手な思い込み、妄想なんじゃないかと。

 この短編の主人公もそんな一人だ。
 まだ医学の発達していない昔、心臓が止まったように見える病気を死亡と間違われ、生きたまま埋葬された事は本当にあったらしい。西洋では遺体をそのまま埋める。被害者はやがて意識が戻るだろう。でもそこは真っ暗な地面の底、石棺の中だ。声を上げても誰にも聞こえない。食べ物もない。身動きすら出来ない。空気が少なくなって気を失うならまだいい。ぎりぎり生きられるほどの空気があったりすると、もしかしたらウジ虫が目や耳や口の中に入ってきて、少しずつ、少しずつ、生きたまま食べられてしまうかも知れない。妄想が生んだ恐怖には終わりがなく、やがて男は狂気の中へ踏み込んでゆく。

 この作品集には「ひょっとしたら本当にあるかも」と、つい想像してしまう怖い話が集められている。それは見えない怖さ。言葉に書かれていない部分を頭の中で想像する。これこそが、テレビや映画にない読書本来の醍醐味だと思う。

(販売部 西川)

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今日の1さつ

絵がていねいに描いてあり大切に食べてもらいたい野菜たちの気持ちが伝わります。残さず使い切りたいと思いました。いいお話ですね。大人が読んで考えさせられました。(読者の方より)

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