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偕成社文庫100本ノック

第7回(プレイバック中!)

大どろぼうホッツェンプロッツ

『大どろぼうホッツェンプロッツ』プロイスラー 作/中村浩三 訳

『大どろぼうホッツェンプロッツ』は、ひげもじゃの大どろぼうがおばあさんのコーヒーひきを盗むところからはじまります。孫のカスパールとその友だちのゼッペルがそのあとを大追跡するのですが、実はホッツェンプロッツ、思った以上に頭のまわるどろぼうなのです。二人の少年は逆にとらえられ、一人は下働きをさせられ、一人は魔法使いに売られてしまいます……。少年たちとどろぼう、魔法使いとの知恵くらべ。悪者たちと丁々発止のやりとりをする少年たちの勇気に思わず拍手、です。

『大どろぼうホッツェンプロッツふたたびあらわる』では、大どろぼうが留置場から脱走、ついにはおばあさんを誘拐します。まんまと出しぬかれた警官のディンペルモーザーさんは、水晶で遠くのものを見る千里眼師のシュロッターベックさんに助けを求めます。カスパールとゼッペルも知恵をつかって、大どろぼうをつかまえようとします。チャンスとピンチが交互におとずれ、はらはらするお話です。

 そしてそして、『大どろぼうホッツェンプロッツ三たびあらわる』では、どろぼう稼業をやめようと決心したホッツェンプロッツを、カスパールとゼッペルが応援するのですが……。

 小学校の先生をしながら執筆していたという作者によるこの物語、登場人物たちがとっても人間的です。ちょっとどじだったり、意外と抜け目なかったり、妙なこだわりがあったり。悪役もなんだか愛すべき人物なのです。そのうえ、主人公の少年二人がくもりのない目でまわりを見る姿はすがすがしく、たよりになります。

 魔法が出てきたり、食べ物がおいしそうだったりするのも物語の魅力のひとつですが、ところどころに出てくる言葉あそびや登場人物たちの名前のひびきも楽しいです。
さて、魔法使いの名は、つぎのうち、どれでしょう?

1 エプロリジウス・ダッケルシュワンツ
2 プロツィリウス・ハッケルシュパン
3 ツェプロディリウス・ワッケルツァーン
4 ペトロジリウス・ツワッケルマン
5 シュペクトロフィリウス・ツァケルシュワン

(編集部 和田)

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毎日をまじめにコツコツ生きるトガリネズミを見ていたら、自分の日常ももしかしてこんなに静かな幸せにあふれているのかも、と思えました。海に憧れて拾ったポスターを貼ってみたり、お気に入りのパン屋さんで同じパンを買ったり。駅中の雑踏やカフェでふとトガリネズミを見かけそうな気がします。(40代)

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