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北の森の診療所だより

第18回

12月 雪面が語るものがたり

まだ体が寒さになじんでないせいか、12月は一年で一番寒く感ずる月。特に今年は11月で最高温度がプラスにならない真冬が5日も続いた。今月になっても、北からの寒波は当然の顔つきでやってきて、そして居座る。雪は毎日チラチラ、ボソボソと降っている。そのため雪面のページは毎日更新されて、私はそこに残された記録を読むのが朝の楽しみのひとつとなる月である。


その朝、雪面に広げた翼の跡がついていた。大きさから考えるとカケスにみえるが、ハイタカかもしれない、遊びにくる誰かをねらったのだろう。ねらわれたのはシジュウカラかヤマガラだろうか。でもよく見るとそんなドラマチックなことではないのかもしれない。でもあれこれ考えるのが朝の楽しみ。


先日目の前でヒヨドリが襲われたのを見た。生きてゆくためには誰かの命が必要なのだと自分にいい聞かせる日が続く。雪面ははっきりと証拠を残して報告するので、そうつぶやいて納得することにしている。広い放牧地でコミミズクの狩りを見た。みごとというより美しいと思った。命のやりとりがこんなに美しい形で見せられると、自然のありようにただただ平伏する。いつものことだが12月の雪面の饒舌には飽く事ことのない楽しい時間をもらっている。


ベランダに出て見上げるカラマツ枝に今日は別客があった。毎朝一時間あまりキタリスが食卓と決めていた枝に、オジロワシが一羽。ひょっとすると毎朝の通勤客をねらったのかもしれないが、キタリスの敏捷さから「それは無理でしょう」とつぶやきながら写真を一枚。


カラマツの実がなくなるまで、来客は入れ替わり立ち替わり続く。私はそれを毎朝楽しんである日新年を迎える。

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  • 竹田津 実

    竹田津 実

    1937年大分県生まれ。岐阜大学農学部獣医学科卒業。北海道東部の小清水町農業共済組合・家畜診療所に勤務、1972年より傷ついた野生動物の保護・治療・リハビリ作業を始める。1991年退職。1966年以来、キタキツネの生態調査を続け、多数の関連著作がある。2004年より上川郡東川町在住。獣医として、野生動物と関わり続けている。

今日の1さつ

絵の”ニッコリ”した表情が好きなようです。鳥の親子の場面が一番反応がありました。(0歳・お母さまより)

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