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絵本作家の「こどもとあそぶ」

第4回

いつもバッグに秘密道具〈いわいとしお〉

子どもの本の作家の方に「こどもとのあそび」を教えてもらう連載。第4回は、「100かいだてのいえ」シリーズが大人気! 8月に4作目の『そらの100かいだてのいえ』を刊行したばかりの、いわいとしおさんです。小さな頃、親にもうおもちゃは買いません!と言われ、代わりに工作の道具や材料を与えられたことから、ものづくりに目覚めたといういわいさん。どんな遊びを紹介してくれるのでしょうか。

 たとえば家族でお出かけの時、電車の中や、レストラン、カフェなどで子どもが退屈して「つまんな〜い!」コールがはじまったら、みなさんはどうしていますか? スマホを渡してしまうのは簡単だけど、なるべくそうしたくない、という方も多いのではないでしょうか。子どもは、とにかく遊びたがる生き物です。子どもたちにとって、遊ぶことは、食欲や睡眠欲などと同じくらい本能的なもの。僕はそれを「遊び欲」と名付けました。おなかがすいた!という子どもに、コンビニのおにぎりを買って与えるのは簡単だけど、できれば自分で作ったおにぎりを食べさせたい。そんな感覚で、子どもの「遊び欲」も手作りおもちゃで満たせないか? それも、いつでもどこでも。──そんなわけで、僕のバッグには、常に緊急事態に備えていくつかの秘密道具が忍ばせてあるのです。

僕の基本の秘密道具。左から、赤の消せるボールペン、黒の水性ペン、鼻毛切り用ハサミ(ハサミの横にあるのはケースです)、ジッパー付きビニール袋A6サイズ、A4コピー用紙を4等分したもの、ハガキサイズのケント紙(年賀状などの試し刷り用紙)。紙の切りくずや、できた作品はビニール袋に入れて持ち帰ります。

僕の基本の秘密道具。左から、赤の消せるボールペン、黒の水性ペン、鼻毛切り用ハサミ(ハサミの横にあるのはケースです)、ジッパー付きビニール袋A6サイズ、A4コピー用紙を4等分したもの、ハガキサイズのケント紙(年賀状などの試し刷り用紙)。紙の切りくずや、できた作品はビニール袋に入れて持ち帰ります。

 まず、紙。ハガキサイズのケント紙とA4コピー用紙を4等分したもの、2種類の紙を何枚かずつ、ジッパー付きの袋に入れて常に持ち歩いています。そして道具のほうは、黒の水性ペンと赤の消せるボールペン、そして小さなハサミ。これが僕の最低限の装備で、さらに旅行となると、これに色鉛筆やホッチキス、セロテープなどが加わります。 

 2種類の紙のうち、コピー用紙はラクガキや切り絵に使います。黒のペンで僕が絵を描いて、赤いペンで子どもに塗り絵をさせたり、ハサミで切り絵をしたり。もう一方のケント紙は、コシがあるので工作用。ちょっとした紙人形作りや、立体工作に使います。たとえ紙を忘れた時でも、お店の箸袋や紙ナプキン、コースターなどがあれば、何でも材料として使えます。

外出時に、レストランやカフェなどで作ったいろいろな紙のおもちゃ。箸袋なんかも使えます。ちなみにカニやタコなどの切り紙は、娘(当時4歳)が切りました。

外出時に、レストランやカフェなどで作ったいろいろな紙のおもちゃ。箸袋なんかも使えます。ちなみにカニやタコなどの切り紙は、娘(当時4歳)が切りました。

 娘がとても小さかった頃は、もっぱら僕が絵を描いたり、人形を作って遊ばせていたのですが、そのうち自分でもやりたい!と言い始めたので、僕が絵を描き、それをハサミで切らせたりするようになりました。僕がいつも持っているハサミは、実はドラッグストアで見つけた鼻毛切り用のハサミです。とにかく軽くて、よく切れて、刃先が丸くて危なくないこと、そして携帯用のケースがついているのがとても便利。もっと小さいのもあるのですが、力がはいるように、あえて持ち手が長めのものを選びました。大人も子どもも、どちらにも使いやすいサイズです。 

展覧会のために、ソウルへ家族で旅行した時に、現地の焼肉屋さんで作ったくまちゃん親子の定食セット。見たものをそのまま作ってみるのも楽しいです。韓国のヤクルトも作りました(笑)

展覧会のために、ソウルへ家族で旅行した時に、現地の焼肉屋さんで作ったくまちゃん親子の定食セット。見たものをそのまま作ってみるのも楽しいです。韓国のヤクルトも作りました(笑)

 娘は、2歳をすぎた頃からハサミを使い始め、5歳となった今では大人顔負けで、線の通りにきれいに切り抜けるようになりました。ハサミを使っている時の集中力はこちらが驚くほどです。そして、外のいろんなところでこうした遊びをしていると、思わぬ効果があることに気がつきました。小さな娘が器用にハサミを使うのを見ると、近くで見ていた大人たちはみんな口をそろえてほめたたえます。娘は得意満面になって、作ったものを見せびらかしては、僕にもっと切りたい!とリクエスト、そして挑戦。またほめられる──外での工作遊びは、そんな好循環も生んでいます。

 ちょっとした紙と道具があれば、絵を描いたり、切ったり、折ったり、立体を作ったりと、スマホでは味わえないアナログな遊びが広がります。バッグに秘密道具を忍ばせて、いつでもどこでも子どもたちの「遊び欲」を満たしてあげてはいかがでしょうか?


いわいとしお
1962年愛知県生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中に第17回現代日本美術展大賞を最年少で受賞。国内外の多くの美術展に、観客が参加できるインタラクティブな作品を発表し注目される。テレビ番組『ウゴウゴルーガ』、三鷹の森ジブリ美術館『トトロぴょんぴょん』『上昇海流』、音と光を奏でる楽器 『TENORI-ON』などを手がける。おもな著書に『いわいさんちへようこそ!』『いわいさんのどっちが?絵本』『光のえんぴつ、時間のねんど』『100かいだてのいえ』をはじめとした「100かいだてのいえ」シリーズなど。「100かいだてのいえ」facebookページ https://www.facebook.com/100kaidate/

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