icon_twitter_01 icon_facebook_01 icon_youtube_01 icon_hatena_01 icon_line_01 icon_pocket_01 icon_arrow_01_r

あららのはたけ

第3回

やられたときが、チャンス

エミへ

 さすがはエミ、いたいとこ、ついてきたね。

 わたしが植えたイチゴたちね、ちゃんと6月には小さな白い花をつけたのよ。まわりに生えてきたスギナとか、しょろしょろした葉っぱのくせにやたら根っこのじょうぶな草とか畑に行くたびにせっせとぬいて、大きくなれ大きくなれって育てたのよ。あんまり大きくはならなかったけど、それでも、その白い花は、がんばって、ちゃんと実をつけたの! 数えたら、3個! 3個も実がついたのよ。だからね、はやく赤くならないかなぁってそりゃあ楽しみにしていたのに、う~ん、いま考えれば、あともうちょっとって思わずに、すぐに食べちゃえばよかった。ぜんぶ鳥につつかれて、おまけに地面についたところは、ぐじゅっと茶色くなってしまってた。

 わたしががっかりしてたら、じいちゃんがいったの。

えりのほうをみつめる鳥

「鳥は食べごろをよう知っとる。食べごろになる直前にネットをかぶしてやらんと、人間の口には入らんわ。それからな、地面に実がじかにつくとくさってしまう。ウリやらスイカもみんなおなじ理屈でな、実は地面からうかせてやらねばならん」

 いつも思うんだけど、じいちゃんって、わたしに失敗させてから「じつはな」って、教えてくれるのよ。知ってるなら先にいってほしいわ。

鳥を見上げるえり

1 2 3 4

バックナンバー

profile

  • 村中李衣

    村中李衣

    1958年山口県生まれ。児童文学者。大学、大学院で心理学、児童文学を学ぶ。著書に『小さいベッド』(サンケイ児童出版文化賞)『おねいちゃん』(野間児童文芸賞)『チャーシューの月』(日本児童文学者協会賞)『かあさんのしっぽっぽ』(青少年読書感想文全国コンクール課題図書)など多数。創作活動とともに、小児病棟や刑務所、少年院、養護施設などでの絵本の読み合いに取り組み、絵本を声に出して読むことを通じて自分の思いを家族に送り届ける「絆プログラム」を実施中。

  • 石川えりこ

    石川えりこ

    1955年福岡県生まれ。横浜市在住。広告代理店でデザイナーを経てフリーのイラストレーターへ。絵本・児童書挿絵をはじめ、書籍装画、雑誌・広告など多方面で活躍中。『ボタ山であそんだころ』で第46回講談社文化賞絵本賞受賞。著書は他に『あひる』(くもん出版)『てんきのいい日はつくしとり』『ことしのセーター』(福音館書店)『またおこられてん』(文:小西貴士、童心社)『流木のいえ』(小学館)など。

今日の1さつ

丁寧な絵、楽しい内容、ストーリーも含めてバランスのとれた1冊だと思います。時々「ふ、ふ」と少し声に出してわらってしまいました。本当にステキな1冊! 次も楽しみです!(50代)

pickup

new!新しい記事を読む