さすがはエミ、いたいとこ、ついてきたね。
わたしが植えたイチゴたちね、ちゃんと6月には小さな白い花をつけたのよ。まわりに生えてきたスギナとか、しょろしょろした葉っぱのくせにやたら根っこのじょうぶな草とか畑に行くたびにせっせとぬいて、大きくなれ大きくなれって育てたのよ。あんまり大きくはならなかったけど、それでも、その白い花は、がんばって、ちゃんと実をつけたの! 数えたら、3個! 3個も実がついたのよ。だからね、はやく赤くならないかなぁってそりゃあ楽しみにしていたのに、う~ん、いま考えれば、あともうちょっとって思わずに、すぐに食べちゃえばよかった。ぜんぶ鳥につつかれて、おまけに地面についたところは、ぐじゅっと茶色くなってしまってた。
わたしががっかりしてたら、じいちゃんがいったの。
「鳥は食べごろをよう知っとる。食べごろになる直前にネットをかぶしてやらんと、人間の口には入らんわ。それからな、地面に実がじかにつくとくさってしまう。ウリやらスイカもみんなおなじ理屈でな、実は地面からうかせてやらねばならん」
いつも思うんだけど、じいちゃんって、わたしに失敗させてから「じつはな」って、教えてくれるのよ。知ってるなら先にいってほしいわ。