こないだの手紙、しょうげき的だった。こちょこちょなんて、すごいよ。ほんと、あたしだったら、目の前にケンちゃんの足がにゅっと出てきたら、びびる。にげだしちゃうかも。エミのこちょこちょは、ぜったいよかったと思う。わたし、わかるもん。けんちゃんって、ものすごく足速かったし、サッカーもやってたんだから、ほんとにいやだったら、エミのことけりとばして、さっさと足ひっこめてたはず。
うまくいえないけど、エミ、ありがと。
わたしたち、とうとう5年生だよ。
5年生になったとたん、学校の仕事もいろいろやらなくちゃならなくなってきたね。わたしは「全校活動係」っていうのになりました。夏休みに1年生から6年生までが全員であつまって、なにか楽しいことの計画をする係。1年生は野菜を食べない子が多いから、野菜パーティーをすることに決まり。「残食ゼロ」をめざして、「野菜いっぱいカレー」と「野菜いっぱいサラダ」をつくってみんなで食べるんだ。野菜は、できるだけ家からもってくることにしようっていうことになって、わたしはジャガイモの収穫がちょうどまにあいそう。父さんの手伝いをして、いっぱい植えたから。
縦30メートル以上ある畑に、わたしと母さんで、種イモをぜんぶ植えたんだよ。きっちり30センチずつあいだをあけて。母さんは植えてるあいだじゅう、腰がいたい、背中がバリバリだ、ダンゴムシが出てきたってブツブツいいっぱなし。結局わたしが5列植えて、母さんは2列だけ。なのに「こんな大変なことするぐらいだったら、スーパーで買ったほうがまちがいなくかしこいわ」だって。でも、父さんは、母さんといっしょに畑にいるだけでうれしそうだった。
ようやく終わって帰ろうと思ったら、父さんがビニールの大きなつつみたいなのをもってきて、「まだおわりじゃない。つぎはマルチをはるぞ。あっというまに草ぼうぼうになるからな」っていった。マルチってわかる? うねの表面を黒いビニールでおおっていくの。そして、芽が出てきたら、そこだけカッターで切りとって芽をのばしていくわけ。
ここで母さん、完全にキレちゃった。「じょーだんじゃないわ。わたしの植えたこの2列は、このままでけっこう! マルチなんてめんどうくさいこと、やりません!」ってさけんで、さっさと畑をおりていっちゃった。わたしだって自分のぶんの5列、マルチをはりおえたときにはもうたおれそう。母さんの2列はそのまんまになっちゃった。父さんも、それでいい、っていったしね。