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あららのはたけ

第9回

風に乗れ

えりへ

 あいかわらずいろんなことが起きるね。

 ねえ、あんたのおじいちゃんがいってた、チョウが海を渡るときのスピードって、どのくらいか知ってた? しらべたら、時速50キロだって。はやっ! よく羽がちぎれないよね。

 じつはこっちも、またまた事件あり。あたし、いろいろまよってこのあいだ、もういちどけんちゃんちに行ったんだ。あんたんちから送られてきたユズで母さんがジャムをいっぱい作ったから、それを届けにね。けんちゃんママ、前と反対にこんどはやせちゃってた。うちの母さんがときどき、いっしょにごはん食べたりとかしてるみたいだけど。けんちゃんも、いいかげんしっかりしろよって気分だわ。それで、せっかくきたからさ、やっぱり、けんちゃんのいる2階に上がっちゃった。それで、与作の出入り口からのぞきこんで「おーい、チョウだっていざとなれば時速50キロで海を渡るんだぞ。いいかげん、あんたも出てくれば?」っていったんだ。

 返事がないから、くつしたぬいで、ほとんど消えかかってるぐるぐるマジックの足を与作の出入り口につっこんでやった。そしたらすぐに、むこう側からダンボール箱でぐいっておしかえされた。負けるもんかって、もういちどおしかえしたら、むこうからもっとぐいぐいおしてきた。それでさ、あたし、パッて足ひっこめた。そしたら、いきおいあまったケンちゃんの足が、にゅってこっちにつきだしてきた。あたしさ、思わずその足つかまえたの!

 でね、つかまえたのはいいけど、どうしたらいいかわかんなくて、こちょこちょしちゃった。こちょこちょこちょこちょ……。

 そしたらね、けんちゃん、親指をぴーんとひらいたかと思ったら、こんどはじゅーんとちぢめて、ぜったいくすぐったかったと思うんだけどさ、でもなんにもいわなかった。根性ある〜。

「ねえ、いいかげんそこからでておいでよね」って声に出していったら、手がはなれちゃって、そしたらけんちゃん、パッて足ひっこめた。なんかあとちょっとの感じしたのになぁ。こちょこちょ、もうちょっと続けたらよかったかな。

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  • 村中李衣

    村中李衣

    1958年山口県生まれ。児童文学者。大学、大学院で心理学、児童文学を学ぶ。著書に『小さいベッド』(サンケイ児童出版文化賞)『おねいちゃん』(野間児童文芸賞)『チャーシューの月』(日本児童文学者協会賞)『かあさんのしっぽっぽ』(青少年読書感想文全国コンクール課題図書)など多数。創作活動とともに、小児病棟や刑務所、少年院、養護施設などでの絵本の読み合いに取り組み、絵本を声に出して読むことを通じて自分の思いを家族に送り届ける「絆プログラム」を実施中。

  • 石川えりこ

    石川えりこ

    1955年福岡県生まれ。横浜市在住。広告代理店でデザイナーを経てフリーのイラストレーターへ。絵本・児童書挿絵をはじめ、書籍装画、雑誌・広告など多方面で活躍中。『ボタ山であそんだころ』で第46回講談社文化賞絵本賞受賞。著書は他に『あひる』(くもん出版)『てんきのいい日はつくしとり』『ことしのセーター』(福音館書店)『またおこられてん』(文:小西貴士、童心社)『流木のいえ』(小学館)など。

今日の1さつ

バンッ!ペロはとびだしいきなりおしっこ。ジョワワワー「ぎょえー!」のところがおもしろかったです。ほげちゃんすごろくもやってみました。すごくたのしかったです。(7歳)

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