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あららのはたけ

第9回

風に乗れ

 死んじゃったんじゃないかと思って、まるもさんの名前を泣きながらよんだら、てへへへって笑いながら、顔をあげた。

 すぐに先生たちもかけつけて、それでまるもさん、いやだってすごく抵抗してたけど、病院につれていかれて、終わりの会の前にもどってきた。足をちょっとねんざしただけで頭にどこもケガがなくてすんだのは、目かくしのタオルが頭を守ってくれてたからだって。それを聞いてわたし、教室の床にへなへなすわりこんじゃった。そしたら、まるもさんがそばにきて「ハイ」って、タオルを返してきた。

 その日は、わたしがまるもさんの荷物を持ってあげて、家まで送っていった。「いいです。ひとりで帰れます」って、まるもさんはいやがってたけど、ほうっておけないもん。わたし、まるもさんのきずがいっぱいついたランドセルをかかえなおして「あなたって、ヘン」ってはっきりいっちゃった。まるもさん、へ?って顔でわたしを見てた。それから、う~んって、空見あげて背伸びした。

 4月にはもう、マレーシアっていう国に行っちゃうんだって。ひとりで海の上をこえていくのかなぁ。

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  • 村中李衣

    村中李衣

    1958年山口県生まれ。児童文学者。大学、大学院で心理学、児童文学を学ぶ。著書に『小さいベッド』(サンケイ児童出版文化賞)『おねいちゃん』(野間児童文芸賞)『チャーシューの月』(日本児童文学者協会賞)『かあさんのしっぽっぽ』(青少年読書感想文全国コンクール課題図書)など多数。創作活動とともに、小児病棟や刑務所、少年院、養護施設などでの絵本の読み合いに取り組み、絵本を声に出して読むことを通じて自分の思いを家族に送り届ける「絆プログラム」を実施中。

  • 石川えりこ

    石川えりこ

    1955年福岡県生まれ。横浜市在住。広告代理店でデザイナーを経てフリーのイラストレーターへ。絵本・児童書挿絵をはじめ、書籍装画、雑誌・広告など多方面で活躍中。『ボタ山であそんだころ』で第46回講談社文化賞絵本賞受賞。著書は他に『あひる』(くもん出版)『てんきのいい日はつくしとり』『ことしのセーター』(福音館書店)『またおこられてん』(文:小西貴士、童心社)『流木のいえ』(小学館)など。

今日の1さつ

バンッ!ペロはとびだしいきなりおしっこ。ジョワワワー「ぎょえー!」のところがおもしろかったです。ほげちゃんすごろくもやってみました。すごくたのしかったです。(7歳)

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