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あららのはたけ

第9回

風に乗れ

エミへ

 3月だよ、わたしがこっちへきて、もう1年たったんだね。最近はモンシロチョウが、畑にひらひら飛んでくるよ。ひらひらって、やさしそうなんだけど、わたしに気づくと、ぷいっていなくなる。そのぷいってする感じがかわいくて、ちょうちょのうたをうたってたの。菜の葉にとまって、あきちゃったら、桜にもとまれーってね。そしたら、じいちゃんが「チョウのそういう気まぐれが、花にとっちゃあこまりもんなんだよな」って笑っていった。「考えてもみろ。おんなじ種類の花に花粉をとどけてもらわにゃならんのに、菜の花の花粉を桜にはこばれてもこまるだろうが。しかしあいつらは、ああ見えて、いざとなれば海峡だって飛んで渡る根性があるからなぁ」って。

 つまり、お池のまわりをぶんぶん飛ぶハチのほうが、おんなじ種類の花のところへ行くから、花たちにとってはいいお客さんなんだって。なんだかチョウのイメージがかわっちゃったなぁって思ってたら、チョウよりもっとかわっちゃった事件があったの。聞いてくれる?

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  • 村中李衣

    村中李衣

    1958年山口県生まれ。児童文学者。大学、大学院で心理学、児童文学を学ぶ。著書に『小さいベッド』(サンケイ児童出版文化賞)『おねいちゃん』(野間児童文芸賞)『チャーシューの月』(日本児童文学者協会賞)『かあさんのしっぽっぽ』(青少年読書感想文全国コンクール課題図書)など多数。創作活動とともに、小児病棟や刑務所、少年院、養護施設などでの絵本の読み合いに取り組み、絵本を声に出して読むことを通じて自分の思いを家族に送り届ける「絆プログラム」を実施中。

  • 石川えりこ

    石川えりこ

    1955年福岡県生まれ。横浜市在住。広告代理店でデザイナーを経てフリーのイラストレーターへ。絵本・児童書挿絵をはじめ、書籍装画、雑誌・広告など多方面で活躍中。『ボタ山であそんだころ』で第46回講談社文化賞絵本賞受賞。著書は他に『あひる』(くもん出版)『てんきのいい日はつくしとり』『ことしのセーター』(福音館書店)『またおこられてん』(文:小西貴士、童心社)『流木のいえ』(小学館)など。

今日の1さつ

描かれている町のモデルのような田舎に住んでいるわけでもないのに、読んでいると思い出す感覚や匂いがあります。こどもの頃の放課後などです。外で遊んでだりして、都会にいても自然を感じとる力が備わっていたのかなと思います。とてもすてきな感覚を思い出すことができました。(20代)

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