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あららのはたけ

第8回

もしもし、おうとうせよ!

 そしたら、部屋の中から「かえれ」って声がして、足のうらが、ごにょごにょって、くすぐったい。思わず足をひっこめてみたら、マジックインクでぐるぐるうずまき。

 それをみて、こんどは左足をつっこんで「帰るわけにいかないわ。こっちの足は、えりのぶん。えりはあたしの倍くらい心配してるんだから!」ってさけんじゃった。けんちゃんの部屋の中、しーんとしてた。だれもいないより、もっとしーんとしてた。あたしも、しーんとした。

 けんちゃんママがそばで「エミちゃん、ごめんなさいね。その足のいたずら書き、落とせるかしら……」っていうから、「いたずら書きじゃない。これは、暗号なの!」っていいかえしちゃった。でも、ほんとにそう思ったから。けんちゃんは「かえれ」っていったけど、でもあのぐるぐるは、「かえるな」っていってた。だってけんちゃん、ずうっと左足といっしょにいたもん。そのままだった。30分くらいそうしてたけど、だんだんおしりがしびれてきたところに、与作が出てきてひざの上にのっかってきた。「いまさらあまえてもおそいよ」っていいながら、なんだか気がぬけちゃって、足をひっこめてそれでおしまい。

 きょう報告できるのは、これだけ。もういちど、けんちゃんちに行くかどうかは、考え中。

 えり、あたしの右足のぐるぐるうずまき、見たいでしょ? ふふふ。いまは見せてやんないよ。こんどは、左足のほうからつっこもうかな。

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  • 村中李衣

    村中李衣

    1958年山口県生まれ。児童文学者。大学、大学院で心理学、児童文学を学ぶ。著書に『小さいベッド』(サンケイ児童出版文化賞)『おねいちゃん』(野間児童文芸賞)『チャーシューの月』(日本児童文学者協会賞)『かあさんのしっぽっぽ』(青少年読書感想文全国コンクール課題図書)など多数。創作活動とともに、小児病棟や刑務所、少年院、養護施設などでの絵本の読み合いに取り組み、絵本を声に出して読むことを通じて自分の思いを家族に送り届ける「絆プログラム」を実施中。

  • 石川えりこ

    石川えりこ

    1955年福岡県生まれ。横浜市在住。広告代理店でデザイナーを経てフリーのイラストレーターへ。絵本・児童書挿絵をはじめ、書籍装画、雑誌・広告など多方面で活躍中。『ボタ山であそんだころ』で第46回講談社文化賞絵本賞受賞。著書は他に『あひる』(くもん出版)『てんきのいい日はつくしとり』『ことしのセーター』(福音館書店)『またおこられてん』(文:小西貴士、童心社)『流木のいえ』(小学館)など。

今日の1さつ

表紙の絵やとちゅうの絵がかわいいのでレンちゃんや高田さんの気分になれて本の中の世界にすいこまれるのでドキドキハラハラしておもしろかったです。(9歳)

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