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あららのはたけ

第8回

もしもし、おうとうせよ!

えりへ

 行ってきたよ! けんちゃんち。

 きのう、インフルエンザで学校休みになったから、これは行くっきゃないと思って。

 けんちゃんママ、ちょっと会わないあいだに、ちがう人みたいに太ってた。けんちゃんが家にずっといるから、けんちゃんママも、ホットヨガのレッスンとか、コーラスとかやめちゃって、ずっと家にいるんだって。あたしの顔を見るなり、「まあ、よくきてくれたわね」っていいながら両手であたしのうでをつかんで、ダイニングにひっぱっていったの。おしゃれな花柄のイスにすわらせられて、つぎからつぎに、あまーいおかしが出てきた。あたしがけんちゃんのことを話しはじめようとしたら、さえぎるみたいにどんどんおかしの説明をはじめてね。それを聞きながら、けんちゃんママ、つらいんだなぁと思った。それでね、マカロン3個、それに金風堂のバームクーヘンと、スイートポテトをごちそうになったところで、あたし「けんちゃんのとこに行きます」っていった。けんちゃんママは、「むりよ」って泣きそうだったけど、でもあたし、これ以上じっとしてたら頭の中がさとうでとけそうだったから、パッと立ちあがって、そのまま2階のけんちゃんの部屋に行っちゃった。

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  • 村中李衣

    村中李衣

    1958年山口県生まれ。児童文学者。大学、大学院で心理学、児童文学を学ぶ。著書に『小さいベッド』(サンケイ児童出版文化賞)『おねいちゃん』(野間児童文芸賞)『チャーシューの月』(日本児童文学者協会賞)『かあさんのしっぽっぽ』(青少年読書感想文全国コンクール課題図書)など多数。創作活動とともに、小児病棟や刑務所、少年院、養護施設などでの絵本の読み合いに取り組み、絵本を声に出して読むことを通じて自分の思いを家族に送り届ける「絆プログラム」を実施中。

  • 石川えりこ

    石川えりこ

    1955年福岡県生まれ。横浜市在住。広告代理店でデザイナーを経てフリーのイラストレーターへ。絵本・児童書挿絵をはじめ、書籍装画、雑誌・広告など多方面で活躍中。『ボタ山であそんだころ』で第46回講談社文化賞絵本賞受賞。著書は他に『あひる』(くもん出版)『てんきのいい日はつくしとり』『ことしのセーター』(福音館書店)『またおこられてん』(文:小西貴士、童心社)『流木のいえ』(小学館)など。

今日の1さつ

絵がていねいに描いてあり大切に食べてもらいたい野菜たちの気持ちが伝わります。残さず使い切りたいと思いました。いいお話ですね。大人が読んで考えさせられました。(読者の方より)

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